活動報告/クオリア京都
第4回クオリアAGORA_2013/日本料理の美味しさとは何か!?
料理と酒づくりに情熱をかけるおふたりからどのような具体的なお話がなされるかが興味深いです。 このお二人のスピーチを受けて、旨み研究の第一人者、京都大学の伏木亨教授にも加わってのディスカッションで、どんな回答が導き出されるでしょうか。
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スピーチ1 「鰻寿司―発酵・熟成・加熱」
木乃婦 若主人 髙橋 拓児 さん
ちょっと20分で日本料理を説明せよと言われても無理ですので、かいつまんでお話しするために「鰻寿司」にテーマを絞りました。 そして、一緒に話をするのがお酒屋さんの佐々木さんということなので、醸造・発酵というお酒の関係のお話になるだろうと思い、レジュメに記しましたタイトルで、鰻寿司のお話をしていこうと考えました。
鰻寿司っていうのは、基本的にみなさんも日本料理として認識されていると思いますが、これを、少し日本料理の観点じゃないことで、鰻寿司を作ってみたらどうかということを考えてみました。
いわゆる無国籍化といいますか、情報が与える文化としては鰻寿司なんですけれども、これってよく考えると無国籍じゃないのというようなことが実際にできるかということを、「発酵」「熟成」「加熱」の観点から考えてみることにしたわけです。
まず、鰻寿司の構成要素を分解してみました。 それは、「鰻」と「鰻のたれ」、「寿司飯」と「実山椒」でできています。 工程としては、鰻は「白焼き」をして蒸して「つけ焼き」をする。 これには、「地焼き」といって、白焼きをして、蒸さずにつけ焼きをする手法もあります。 それから、鰻のたれというのは、「醤油」「みりん」「お酒」。 それをベースにして何度も「漬けだれ」をしているうちに鰻のエキスが、その中に溶け込んでいきます。 寿司飯は「米」と「寿司酢」からできています。 それから実山椒ですが、これを醤油、酢、酒で炊き、ご飯と鰻の間にはさんで鰻寿司のできあがりです。
今回は、この中で、鰻のたれだけに注目してみました。 本来は、それぞれが長期発酵して熟成された醤油とみりんとお酒というものに、鰻の脂分とか酸化したものが含まれているというのが鰻のたれ、という認識があるわけでなんですが、これを短期に発酵して熟成させたらどうなるか。 さらに、もう少し話を進め、たれに含まれている成分を合成して加熱することで、たれができないかということを考えてみました。
というのは、醤油やみりんの味がすると、日本料理というふうに思わはります。 なおかつ、フランス料理、イタリア料理の料理人の方に話を聞くと、「醤油、みりんは絶対使わない」とおっしゃいます。 なぜかと聞くと「それに引っ張られ、日本料理になってしまうんだ」と。 ぼくは、それは違うだろうと思います。 というのは、醤油もみりんも長期発酵して、熟成をしているだけで、なんら世界にある他の発酵調味料とシステムが変わっているわけじゃなくて、大豆を使って熟成をさせれば醤油になってるだけの話なのです。 そこで、そういう風土に根差した酵母とかを使わずに、同じような味わいを出す手法はありかな、ということを考えてみたわけです。
日本料理を作る上で非常に大事なことは、いつも原点に帰るということです。
それで、まずもって、醤油、みりんが、どのようにして作られるか、歴史的要素の含まれたことを勉強する必要があります。 まず、醤油の醸造工程についてですが、(資料)原料の処理としては、大豆は十分に水を吸わせてから、ボイラーで蒸気加熱をし、圧力釜を使い高圧短時間で蒸します。 小麦も炒りあげて砕くというのが第一の工程。 それから、大豆も麦も合わせ、麹菌と混ぜ合わせた後、麹室に入れて4日間、温度管理をしながら撹拌し麹菌をまんべんなく繁殖させます。 麹菌がうまく繁殖したら、塩と水を混合して貯蔵します。 それからその後、1年、1年半の間発酵させ、この長期の発酵で、どんどん熟成を進めていきます。 こういう分解作用で、みなさんがお感じになっている醤油本来の味、香り、色が作られていきます。 最後、しぼって、火入れを行い発酵を止めてから、容器に詰めて販売するということになります。
その次はみりんです。 これは、蒸したもち米に米麹を混ぜて焼酎を加え、室温近辺で熟成したものを絞り、ろ過して作ります。 この時、麹菌の作用によってもち米のデンプンが糖化して、コハク酸やアミノ酸の作用による独特のコクが出てきます。 熟成時に14%程度のアルコール分があるから、酵母菌によるアルコール発酵が抑えられ日本酒よりも甘くなるというわけです。
日本酒は、コメと水が主原料でありまして、麹の作用によってブドウ糖に変え、酵素はブドウ糖からアルコールと旨味成分であるアミノ酸を作る。 いわゆる並行複発酵によって日本酒は作られていきます。
そこで、お醤油、みりん、日本酒それぞれの成分合成を調べ、成分をそれぞれ抽出しまして、醤油でいうと大豆、小麦由来の約20種類のアミノ酸がありますが、そういう味のするもの。 また、250種類以上の香気成分を分析して、どういう香りが含まれているかを探し出す。 みりんについても、その複雑な甘味成分であるとかアミノ酸、そういうものがぼくたちの身の回りにある発酵されていない食品で、それが存在しているものがあるかどうかを調べ、そして、それぞれの成分を再構成してみることにしました。 ただ、醤油だけ作れ、みりんだけ、と言われても難しい。 お酒を合成しろと言われても、醸造、発酵させないでは作りにくいので、この3つを足したものができないかと考えました。
そこで、このへんは料理人の技術になってくるんですけれども、自分で合わせたつけだれを飲んでみて、これは、こういう味、香りがある、こういう感じの舌に残るものがあるということで、それから引っ張り出せる要素を全部食材に当てはめていったわけです。 そうすると、大豆というのは醤油由来のもんで、つまり、大豆から醤油を作りますので大豆の成分は確実にある。 さらに、醤油とみりんとお酒を合わせたものに入っていると感じられるもの…、牛の赤身肉、鰻の骨、干貝柱、ニンジン、ダイコン、シイタケ、タマネギ、アオネギ、そしてヴァニラビーンズ。 このヴァニラビーンズも、お醤油の中に微かに香っているものです。 こうしたものを合わせ、今朝作ったものをここに持ってきています。 後でお召し上がりになってください。
それで、これらの食材を、バーっと列挙していくうちにひとつ思ったのは、(資料)フランス料理のことでした。 この考え方はまさにフランス料理の考え方なのです。 つまり、調味料を、発酵・醸造技術を使わずに作るというのがフランス料理の「ソース」なんですね。 自分の頭のなかにあるソースを作ろうという工程というのは、例えば醤油なら醤油の味のイメージをまず頭のなかに入れ、あるいは、醤油とみりんと酒という「ソース」を仮想して、食材を組み合わせてつくり上げるというものなのだと思います。 フランス人は、醤油やみりん、酒で味をつけるコンセプト建てがなく、こういった食材を組み合わせた化合物を作り上げ、そこにワインだのバターだのミルクだのそういうものを加えてコクを加えていくという技術ではないのかなと思いました。
日本料理は、そういうことを考える必要がない文化です。
日本料理は、調味料まずありきということなんです。 もしくは、熟成、発酵が進んだものを使うのが前提で成り立っている。 これが、一般の方々に向けて日本料理とは何か発信する時のわかりやすい説明になるのではないかと思います。
「発酵」と「加熱」と「熟成」ということについては、仁愛大学の川崎貫也先生がわかりやすくまとめていらっしゃるので引用させていただきます。 (資料)読み上げますと「味のないタンパク質を酵素で分解して味、香りのあるものにするのが熟成と発酵である」「熟成は自分の持っている酵素で分解を行う一方、発酵は外からの微生物の酵素で分解する」「熟成も加熱もアミノ酸と糖のメイラード反応によって香ばしい香りが出る」「熟成は低温・長時間、加熱は高温・短時間で反応が起こる」―ということです。
基本的には、ぼくたち日本料理の料理人は、発酵と熟成されたものを使用して、その素材の風味、味を邪魔しない程度に補い、料理をするものであって、フランス料理のように人工的フレーバーであるとかの組み合わせで、もともと持っている食材の風味を消すことは困難なのです。 別な言い方をするなら、その高度なソースを作ることが非常に難しいということです。 つまり、醤油やみりんなど自然に複雑な発酵・熟成を経たものよりさらに練度が高くてピュアであって高品質なものを、ソースで作り上げることができない。 そういうことの上に、日本料理は成り立っているような気がします。 ですから、日本料理はわざわざ難しいソースを作って魚に合わせるということがないですし、反対に、フランス料理、イタリア料理というのは、素材のポテンシャルよりも、むしろ、そういった人工的、もしくは、自然と人間とを比較した時、人間が自分の作品として作り上げる、あるいは、自然を征服するということの目的で作られているような気がします。 このようなわけで、日本料理とそれ以外の国の料理、まあ、フランス料理を相手方とすると、食材、料理に対する哲学が、全然違うということがわかっていただけたのではないかと思います。
クオリアAGORA事務局
ありがとうございました。 髙橋さんは、今年の春、きょうお見えの伏木先生の研究室で大学院の1回生になられたということです。 髙橋さんは常に「料理は科学である。 科学がわからなければ次の料理の進歩はない」とおしゃっているのですが、ただ今の講演でその片鱗がうかがえたのではないかと思います。
続きまして、佐々木酒造の佐々木さんです。 本来の跡取りはお兄様だったようなのですが、ご存知のように、お兄様である佐々木蔵之介さんが俳優になってしまわれたので、ご本人が酒造りを継がれたということです。 経営というよりもむしろ職人という立場でお話をさせていただきたいということだったので、職人感覚に満ち溢れたお話を楽しみにしたいと思います。
スピーチ2 「日本酒の香りを楽しむ~酒づくりの今と昔」
佐々木酒造 社長 佐々木 晃さん
香りについてということでしたら、私の先生が、この産業技術研究所もたくさんおられるんですが、きょうは、普段からお酒づくりに携わっている者の立場から、酒づくりも含め、その香りについてお話させていただこうと思っています。
日本酒の香りというのは、昔と今とではだいぶ変わってきています。 流行はいつも同じではなく、最近のはやりのお酒の香りというのもありますんで、時代時代にあわせた、ま、経営でいうと「売れるお酒」というものにあわせた香りになるよう対応を進めているところです。
それで、お酒の主な香気成分ですが...、
日本酒に限らず、お酒の香気は大きく分けると、「原料」「発酵」「熟成」の3つに由来するものです。 日本酒は、あまり長期に熟成はしないです。 「古酒」という分野もありますが、うちはこれはやっていません。 原料の米に関しては、あまりこの香りというのはないのでね、日本酒の場合はほとんどが、発酵の途中に出る香りです。 その中でも、「アルコール」の中の「エタノール」、これはアルコール臭いみたいな感じ。 「フェネチルアルコール」はちょっとバラの香りがします。 あと、「エステル」成分ですけども、「脂肪酸エステル」はいわゆる「果実臭」、バナナやリンゴとかの香りが日本酒の中にあります。 いわゆる「吟醸香」という「吟醸酒」の中に含まれる香りです。 その代表的なものは、「酢酸イソアミル」と「カプロン酸」の二つです。 前者はバナナのような香りで、甘い、重たい香りですね。 10、20年ぐらい前の吟醸の香りはこれが多かったです。 最近は、カプロン酸エチルの多い酒が増えてきています。 青リンゴとか洋ナシのような爽やかな軽い感じの香りの吟醸が主流になっているのです。
それで、バナナとかリンゴとか、吟醸の香りをどうやって作るのかということですけれども、(資料)「大吟醸」の香りを出すのは、エステルの働きが大きく、そのエステルは「酵母」が作ります。 普通、米のデンプンを「麹」が溶かして「ブドウ糖」に変え、酵母がそのブドウ糖を食ってアルコール発酵するんですが、酵母はブドウ糖が少なくなると、近くにあるアルコールや「有機酸」とかを体内に取り込み、エステル化します。 そうさせるためには、ブドウ糖の濃度をできるだけ低くすればいいのです。 けれども、あまり下げると、酵母は餌がなくなり弱ってしまう。 そのへんの微妙なところが、「グルコース濃度」の調整です。 (資料)その表で言いますと、15日目ぐらいから、グルコース濃度を3%切るぐらい、2%前半から1%後半ぐらいに保つと、エステルをどんどん作ります。 最終的に仕込みの温度なんですけれども、品温を5度後半から6度ぐらい、最高でも10から11度になるぐらいまでの温度で30日過ぎるぐらいまで発酵期間を引っ張ります。
普通のお酒は、(資料「Yハ」↑)「品温」10度で仕込み、そこから、一旦16度くらいまで上げ、今度は、そこからだんだん下げていきます。 普通のお酒、普通の発酵は、このように仕込んで、ぐっと一旦最高品温にあげ、そこからシューッと下げていく。 鯨の背中といいますが、いい感じでカーブを描いて下がっていきます。 これに対して大吟醸は、発酵は温度×時間ですので、低温で長期間引っ張ってその酵母にエステルを出させるという作り方によって、吟醸酒独特の香りを出しているわけです。
それで、吟醸酵母のはやりとか移り変わりですけれども、昔は「協会7号」というのが主流でした。 うちも使っておりましたが、発酵力がとても強い。 安全に発酵できて、香りも穏やかで酸味もいい具合に出て、今の標準的なお酒の主流として、7号がずっと使われていました。 しかし、70年代半ばごろから「協会9号」というのが出てきました。 特に吟醸酵母で香りがいい。 ですから、吟醸酒は、一時9号ばかりでした。 「山田錦」を35%に精米して、協会9号を使えば、鑑評会で金賞がとれるということもあって、スペック競争のような様相になってしまいました。 この結果、全国、みんなおんなじお酒になってしまって、全然面白くなくなってしまったんですね。
日本酒というのは、本来、それぞれの地域が、その土地土地の風土、料理に合わせて作られるというのが面白いところなんです。
それが、みんな兵庫県の米で作る同じお酒になってしまった。 こういう反省もあって、90年代になって、それぞれの地域の酵母が出てくるようになりました。 長野の「アルプス酵母」、これ、バナナ系の香りでしたが、しかし、これも主流になり、全国で使うようになって同じような香りの酒になるんですが…。 他には、「秋田花酵母」、これは、カプロン酸エチル、リンゴ系の香りのが出てきたり、「協会14号(金沢酵母)」は少酸性の酵母で、これは、うちも一時使っていました。 近年になりますと、「明利酵母」や「協会1801号」という、今、うちでも使っているものが出てきました。
(資料)この表は、うちの会社の10年前から今日までの酵母の変化です。 10年前は、協会7号が半分ぐらいで普通酒、吟醸酒が協会9号、大吟醸とその間のちょっといいお酒というのが金沢を使って、やがて大吟醸がメーンになるだろうということで、そんな感じで作っていました。 現在は、普通酒が売れなくなったというか、吟醸酒が主流になっていいお酒がよく売れるようになったといったらいいかもしれませんね。 協会7号の普通酒の部分が減りました。 それから、協会9号の代わりに「京の琴」いう酵母を使うようになりました。 これは、京都市産業技術研究所さんとうちで開発して作った酵母なんですけれども、すごく発酵力がよくて香りもいいすばらしい酵母で、これを使い出したら9号は全然いらないといった具合で、ほとんどが京の琴になりました。
大手の蔵元さんですと、自分ところで酵母の開発とかされていますが、うちのようなところでは、研究所もなく、分析の機器も貧弱です。 産技研さんみたいなところに協力していただけて、そのおかげで商売やらせてもらっているというような感じですね。 そんなわけで、今ほとんど、この京の琴をつかっていて、一部、大吟醸だけ、18号、明利、長野というのを使っている状況です。 金沢も、少酸性でいいということなんですけど、うちの場合は、作り手が悪いのか、変質したのか、何故かすごく酸が出てしまいました。 「西陣」というお酒に使っていますが、酸っぱいお酒ということになってしまい、それが、また「おいしい」という評判になって、なんか複雑な思いなんです。
では、最後に酒づくりの工程とその移り変わりをご説明します。
コンピューター管理の大手では、もう当たり前ですけど、うちの場合で、ちょっと最近変わってきたなというところを紹介します。 これは、縦型精米機です。 この機械を使うことで、精米がうまくコントロールでき、精米度50%以下とか40%とか35%とか高品質な精米が可能になったので、お酒の高品質化につながっています。 これがなかったら、大吟醸のいいのはできません。
次は、「蒸(むし)米(まい)」の工程です。 昭和40年当時は、こんな風に、熱い蒸したばっかりのお米の上に人が乗ってスコップで掘り出していく作業。 これ、取材がくると、花形の仕事でそればっかり出るんですが、実は、この担当はむちゃくちゃ辛い。 最近では、すぐ担当者がやめてしまうので、去年、この蒸米機に変えました。
そして「種麹」をまく作業。 昔は固定した台の上において、ふわーふわーふわーとやったのですが、今はベルトコンベアーで運ばれてくる。 動くか動かないかの違いで、やることは同じです。 麹を作る作業は、昔は「箱麹」といって、積んでおいて、たまに入れ替え菌をつけていきましたが、今は、ここに入れておくだけで風があたって、うまくやってくれます。 「酒母(しゅぼ)」、これは酵母を培養する工程です。 昔は、「もとすり」作業といって米と麹に水を混ぜ酵母を加え、すって潰していくんですが、今は、麹を水につけておきますと酵素液ができ、それを米にかけて溶かすという形に変わってきています。 そして、「もろみ」です。 これは昔も今もほとんど変わらない。 ただ、昔は、もろみから泡が出ますので、その状態を上から杜氏がのぞいて見て、もろみの健康状態を確認していました。 今は、毎日、もろみを分析していて、見る代わりに数値で判断しています。 だから、酵母の種類が、今は、「泡なし酵母」というのがあるんですよ。 例えば「協会〇〇号」のあとに「01」が付いているのがそうです。 これは変わってきています。 それで、いよいよ「絞り」ですが、(資料)以前は麻袋にもろみを入れて、積んでいってその上に板をおいて絞っていました。 今は、アコーデオンのような装置でプレスして絞ります。 もっと、新しいところでは、遠心機でシューッと分離して絞るというのもあります。
うちは日本酒だけでなく、ノンアルコール飲料を何年か前からやっております。 平成20年、21年の「地域イノベーション」で、ノンアルコール飲料を開発しました。 米と米麹を原料にして、新しい食品原料を作るというテーマでしたが、うちは一つの出口として、日本酒をやっているのでノンアルコール飲料を作るという研究をしたわけです。 これ、酵母を使わないからノンアルコールなんです。 で、先程も申しましたが、お酒の香りというのは酵母が作るので、このドリンクには全く香りがありませんでした。 「麹D」というお酒と同じ麹に、これに原料米と水を入れて溶かして、甘酒を作った。 もう一つの製造工程で、種麹Aという「焼酎麹」で「クエン酸」を作り、この二つをまぜて絞るというやり方で作ったのです。 ところが、酵母を使っていないので香りもなく、あまりうまくない。 特に、焼酎酵母は、味の面で何の改良も加えられてきていないので、アンケートでもめちゃくちゃ評判が悪く「ただでもいらん」といわれたぐらいで、散々でした。 髙橋さんにも何回か飲んでもらいましたが、ボロカスにいわれましたね。 それで、これはアカンと、クエン酸の工程をやめて「梅エキス」を入れてみたのです。 すると、これがうまくいき、香りも酸味もよくなって、とても美味しくなりました。 きょう、持ってきておりますので飲んでみてください。
まもなく、お米も肥ってきて、また今年も酒造りが始まります。 今年1月に「日本酒で乾杯」の条例が京都でできました。 これから皆さんも、日本酒で乾杯していただく機会が多くなるかと思いますが、今後とも、なにとぞ日本酒をよろしくお願いいたします。