活動報告/クオリア京都

 


 

 

第9回クオリアAGORA/ワールドカフェ



 


 

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ディスカッション

ワールドカフェ

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ワールドカフェ




最後は恒例のワールドカフェ、「人との付き合い」、「仕事の上での付き合い」「付き合いで考えさせられたこと」などについて話し合いました。 今回は各テーブルのご意見番も報告者となっています。 熱気のこもったワールドカフェの一端を楽しんでください。


≪ワールドカフェとは?≫


[ 各テーブルのまとめ ]



●第1テーブル 報告者  

渡辺 実 (花園大学社会福祉学部教授)
山本 勝晴 (浄土宗西山深草派 僧侶)



人との付き合いで困ったこと、から話が始まりました。 どういうことで困ったかというと、価値観の違いということでした。 ある社長さんのお話なんですが、最近の若い社員は、事務職でいいと、将来の夢も語らない。 これがずいぶん自分たちの世代と違うとおっしゃる。 その理由は、人とぶつかるのが面倒だとか、終身雇用でなくなったので、人との深いコミュニケーションを持つことも必要ないと考えるようになったからではないかということでした。 それで、コミュニケーションとは何かということになったわけなんですが、コミュニケーションには一次的なコミュニケーションと二次的なコミュニケーションがある。 一次的は、場の共有、同じ場所で同じことを経験することで気持ちを共感し合えるような関係のコミュニケーションで、例えば、レストランでカレーといえば、カレーを食べたいんだなとわかる。 二次的の方は、フォーマルな形で、きちんとどういうことかを説明しないとわかってもらえないような関係におけるコミュニケーションです。


まあ、いろいろなコミュニケーションの形があるということなんですが、最近は、フェースブックなど、一・五次元的なコミュニケーションも出てきていて、擬似的に一次的コミュニケーションの場を共有するということが行われているのではないかという意見もありました。 それで、コミュニケーションは、どちらかというと上滑りになることが多く、「コミュニオン(交わり)」という全体と全体との関わり、言葉以外のことすべても含めた付き合いが大事ではないかという話になりました。 コミュニケーションは結局個人の技であり、付き合いで困ったことが起きても、ポジティブに考えれば解決していくのではないかという声もありました。





●第2テーブル 報告者  吉川 左紀子 (京都大学こころ未来研究センター長)


世代間のギャップということで話したことなんですが、私のところの院生が、教師として夜間の大学で心理学の講義をした時の苦労話です。 40代、50代の、人生経験豊富な受講生を、20代後半と前半の教師が教えるというちょっと難しい状況の中で、院生は、後輩を支えて、辛い授業を乗り越えたというのです。 人生の先輩といった年齢の人たちに心理学を教えるだけでもなかなか難しいことなんですが、自分も、大変苦労しながら、そんな中で後輩のアシスタントをサポートした。 その話を聞いたとき、世代間で違うといわれているが、やっぱり辛さを引き受けながら、年下の人を支えるという気持ちは、変わらないんだなあ。 若い世代は、自分たちとは違うように見えているけれども、自分が若かったときと同じように、人との付き合いを学んでいっているんだなあと思ったという話をしました。


こころの未来研究センターのことも話しました。 いろいろないきさつがあって、全く違う分野の先生が4人集まって、新しい部局を作りましょうということになったんですが、その時、わたしの中で一番大変だったのは、いろんな先生たちからいただいたアドバイスだったのです。 良かれと思ってたくさんの人がアドバイスをしてくださったんですね。 その中で最も多かったのは「小さいセンターなんだから、ひとつだけやりたいことを決めて、これだけはやりますというのがいい」というものでした。 それで、最初の3年間、どうしたら4人の先生で一つの大きな柱をつくっていけるかということで、いろいろやってみたのですが、本当に大変でした。 。 で、結論としては、そういう方針でいくのは諦めました。 京大の4人の教授が全くそれまで学問上の共通項もなく生きてきた人たちで、しかも50代です。 それが、突然集まって、何かひとつの共通の目標に向かって一緒に力を合わせるなんてことは、それはできないです(笑い)。 できることは、みんながそれぞれにやりたいことを目一杯やって、楽しい人生を過ごすということです。 こう決めたのが4年目。 そういう方針にかえてやったら、とてもいい感じでセンターの運営をできるようになったんです。 で、先ほど、それでは、バラバラになったんじゃないかという質問があったんですけど、不思議なことに、「うちのセンターは、全員が好きなことができるセンターなんです」という共通項ができたんですね。 私は楽になったし、先生方もハッピーになった。 とても逆説的ですが、今はこれしかないと思っています。


谷本 親伯 (大阪大学名誉教授)


留学生とどう付き合っているかで討論をしたことがあります。 中国人が多いですが、日本で受けた親切は下心がなかった、とすごく日本をよく思っていて、その後いい関係が続いています。 もう一つは、環太平洋大学連合の会合の時のことですが、留学生を多く交換するにはどうしたらいいかという議論をして各大学がPRを行った時、現在の京都大学の総長の松本先生は「私は心を教えます」とおっしゃった。 これピカイチでした。 関西にはFMCOCOLOというのがあって、阪神大震災の時、外国人、留学生たちへの外国語の情報が少なく困ったことでできた放送局ですが、あれ、西島(安則)先生も協力された。 京都ははっきり心をいうんですね。 ということで、人との付き合いは「心」だと。







●第3テーブル 報告者  服部 久美子 (京都リサーチパーク産学公連携本部 統括マネージャー)


まず、コミュニケーションに求めるものということで話をしました。 それは、結局立場、によって違うんじゃないか。 例えば、夫婦間、上司と部下、男女であるとか学生と先生の関係など、求めるものがそれぞれ違って、自分たちのしたいようにコミュニケーションはとられるが、それを埋める方法はいろいろあるんだろうが、その時、軸をぶらさないことでいろんな人とコミュニケーションを取ることができ、心を通わせることができるのではないかということが結論ということになりました。 あ、それから、ガールズトークのように、いいたいことを一方的にいうだけという新しいものが出てきています。 そうした新しいコミュニケーションのスタイルもコミュニケーションというのかという話も出て、いろいろ話した結果、最初の話で出たように、立場によって求めるものがそれぞれ違うので、そういう意味でコミュニケーションはとれているのかなという話になりました。


あと、学生と先生のコミュニケーションの仕方ということで、これは味方じゃないなという学生を、あえて味方につけにいくことで、場の全体を味方につけるという方法があるという意見もありました。 最後に、上下関係しか考えられないような人とのコミュニケーションはギャップがなかなか埋まらないが、これも、自分の軸をぶらさないことで、周りから近づいて来て、うまくいくのではないかということに。



●第4テーブル 報告者  山極 寿一 (京都大学大学院理学研究科教授)


女性の管理職の方がいらっしゃったので、男女共同参画の問題、特に管理職の立場からするとどうかという話をしました。 男女の部下とどううまく折り合いをつけていけばいいか結構苦労があるようで、部下が女性の場合と男性の場合では付き合い方が違う。 女性の場合は、いい職場を求める時に、身近な人との信頼関係が重要だと思っているし、自分が幸福になる大きな窓口だと考える。 男性の場合には、より広い範囲の人に認めてもらいたいと思っているので、多少職場の雰囲気が悪くても、上の方の人に認められること、より広い評価を求めることを重視する。 こういう違いが男女である。 それから、男女共同参画に関して今の日本の方針については、男女の違いを前提にした平等性が担保されるべきであって、何もかも平等にやるというやり方については疑問だという声が、結構大きかったですね。


人間関係をうまくやっていく方法としては、いうなれば、いつも悪口をいっていたりするようなことが、結構プラスにもなるという意見がありました。 つまり、これ「不在の会話」といいまして、噂話は人間の会話の殆どを占めるわけですね。 人の噂をするというのは、その人がここにいることを認めているわけで、仲間はずれにしているわけではないんですね。 その人がいなくても、いることのようにみんなが思っている裏の証であって、それは実は重要なことなんじゃないか。 噂話に乗らなくなったら、もう、見捨てられたと考えていい、と、これは私の意見です。 もう一つ、グループを作るのに、例えば、女性を雇用する場合には、1人でもなく2人でもなく3人雇うのがいい。 1人だと、全部上からの要望とか苦情を一身に受けなければならない。 2人だと対立点が明確になりすぎる。 それに対して3人いると、相互していろんなものが相殺されるという形になるので、そういう雇用の仕方がプラスという話も出ました。


男女共同参画に関連してですが、最近、女性が、男の領域と思われていたところに進出してきているのですが、ショー的イメージが強く出されていて、本質的に男と女が共同で折り合いをつけて行くためには、何らかの合意が必要。 必ずしも、すべてを平等にすることではなく、男女の差を越えて声をかけ合うことが重要なんだろう。 声をかけ合うことができるような関係を基に何か作っていくことが重要なんじゃないか。 その上で距離感をきちんと把握すること。 つまり、そういう距離感を基に相手との付き合い方を調節するというような感覚が大事なのではないかという話をしました。 それで、これからどうしたらということなんですが、突然ですが、教育が大事ということで、まだ詰められていませんが、みんなが納得した次第です。






最後に、中田 哲史 氏(中央公論事業戦略本部長)から感想が…。




山極さんに呼ばれて東京からやってきました。 中央公論に勤めておりますが、仕事柄、男女の比率は半分で、共同参画については区から表彰されたことがあります。 いろいろ、企業にとっては負荷がかかるんですが、業務として編集は女性に向いていることもあり、もとからそれは織り込み済みです。 いろんな業種でコミュニケーションのあり方とか、男女の評価や制度で働きやすい環境を作っているとか、男女の資質の違いを前提に共同参画をやっていくなど、大変、有意義な話を聞くことができ、ありがたかったです。


それから、この会の感想ですが、大学の先生や産業界の人が一緒になって話すということ、これは大変興味深いことで面白いと思いました。 そして、これがまた文字に落とされているというのもいいですね。 大変ユニークなものと思いました。






 

 

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