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第8回クオリアAGORA 2016/コンファレンス



 


 

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コンファレンス(意見交換会)




荻野NAO之 (写真家)


今回のワールドカフェは、森谷さんを囲んで、参加した方々との意見交換形式をとらせていただきました。 そろそろまとめに入りたのですが、今、質問があったんですが、基礎代謝を上げるには、どうしたらいいでしょうか。 森谷さん、最後に、お答えいただけますか。



森谷敏夫 (京都大学大学院人間・環境学研究科教授)


実は、筋肉を鍛えるだけではないです。 褐色脂肪細胞というのがあって、これ、赤ちゃんの時にはあるっていうことがわかっていたんですが、人でそれを同定する方法を日本人が初めて開発したんです。 PETを使って。 褐色脂肪細胞というのは、これ、エネルギーを無駄遣いにする細胞なんですね。 冬の寒い時に、これから熱が出て体温が上がるんですけど、これ、どこにあるかっていうと、ここの鎖骨の直下のところにいっぱいあります。 そこと、脇腹のところと背中の肩甲骨のところにきれいに写ります。 北海道大学のケースですけど、褐色脂肪細胞がしっかりある学生とない学生で基礎代謝を測った。 寒いところにいると、褐色脂肪細胞がある人は平均的で、1日に直すと400キロカロリーぐらいアップします。 それがない学生もいて、北海道って寒いのに、一日、部屋の中が暖かいから、褐色脂肪細胞がほとんどない人もいる。 その学生は、褐色脂肪細胞がちゃんとある学生に比べると、基礎代謝は400キロカロリーも少ない。 逆に言うと、自律神経でコントロールされている褐色脂肪細胞の基礎代謝に貢献する熱量って、400キロカロリー近くだということが言える。


それと、もう1個、代謝を決めているのは、実は、きょうは全然そういう話ができなかったけど、ぼくの専門の自律神経です。 中年以降の人間が太りやすくなる理由は、自律神経の機能が落ちているからです。 自律神経は、ものすごく面白い作用を持っていて、例えば、きょう食べ過ぎたとしたら、「Leptin(レプチン)」っていう遺伝子が脂肪の細胞から出るんです。 脳の視床下部ってところにある満腹中枢、この満腹中枢っていうのは、交感神経の中枢でもある。 だから、普通は、食べ過ぎたら、自律神経がよく働いていると、「ああ、食べ過ぎたー!」って満腹感がすぐ来るんです。 ところが、中年以降になって、自律神経が弱ってくると、レプチンが出て行っても、感じないんです。 で、ジョージ・ブレイっていう、国際肥満学会の会長の理論が「交感神経活動が低下するから太るんです」っていうもので、これが今、一番受け入れられている。 つまり、中年以降や更年期で自律神経機能が弱ると体重調節が、だんだんできなくなる。


交感神経がたたかれ、アドレナリンが出ると、脂肪を分解する酵素「Lipase(リパーゼ)」というのが元気になる。 すると、中性脂肪が遊離脂肪酸になって、それが背中やわき腹の褐色脂肪に行って燃える。


だから、太り始めたら、自律神経の強い人は、自分で食欲は抑える。 レクチンで交感神経をたたくから、脂肪が燃える。 だから、体重は勝手に、自動的に調整される。 ぼくの場合がそうです。 何も気にしないでも、体重は一緒なんです。 そういうのが自立神経なんです。


その自律神経が、最近の女子学生はものすごく低い。 ぼく、測定できるんです、心電図を取って。 低体温です。 だから、交感神経をたたかない。 それで、交感神経を一番元気にするのは、ダイエットじゃない。 これなんです。 運動なんです。 階段なんか登るとね、交感神経をたたいて、呼吸数上げないといけないし、血圧上げないといけないし。 昔、流行ったダンベル体操が何で痩せたかっていうと、あれ、エネルギーなんて大して使わないんですよ。 でも、交感神経が弱くなったご婦人が、うーんってやってると、交感神経たたくから、それで機能がよくなると、勝手に食欲調整がうまくいって、それで痩せていくっていうことなんです。









荻野


先ほどから、ずっと脂肪とかそういうお話をうかがっていたんですけど、この交感神経のことが非常に大事なんですね。



森谷


これの方がメーンで、実は、ダイエット食品とかの中には、交感神経をたたくものがいっぱい入っているんです。 例えば、「Capsaicin(カプサイシン)」、トウガラシの辛み成分ですけど、カレー食べたら、体温上がって汗かきますよね。 あれは、まさしく交感神経をたたいているんですよ。



荻野


ということは、この現代社会の中で、どうやって各自が、自分の交感神経をいかに活発化させていくかっていうことでしょうか。



森谷


そうです。 動きたくない人はブラックコーヒーを飲んで、カフェインの作用で交感神経を活発化させる。 でも、そういうのは、長く続かないので、やっぱり、ダサいけど、自分の体を動かすというのが一番です。 確実に交感神経が動きます。



高田公理 (武庫川女子大学名誉教授)


昔、流行ったハッスルですね。 ハッスル、ハッスル!









高橋淑子 (京都大学大学院理学研究科教授)


交感神経のお話は、今おっしゃった通りですけど、夜の間は、副交感神経が働かないとダメなんです。 交感神経ばっかりずーっと使っていると、副交感神経が働かなくなって一気に体が崩れてしまう。 だから、昔から言われているように、お日様が上がるっている時は、交感神経が上がる、お日様が沈むと副交感神経が上がる。 でも、今、夜中までゲームをやっていると、バランスが崩れて、どっちの神経が働くのってことになってしまう。



森谷


そうですね。 実際、自律神経が死んだように低い女子学生がいる。 皆さんは、交感神経、副交感神経はシーソーみたいに思っていると思います。 確かにそうなんです。 交感をしっかりたたいたら、必ず副交感が上がってくる。 ただ、そのレベルがね、例えば糖尿病の神経障害のある人なんかは、自律神経が地下28階で動いているんですよ。 更年期のものすごく酷い人とか。 だから、体温調節できない、食欲調節できない。 呼吸も、血圧もものすごくしんどいんですよ。 ところが、高校生とか運動している人は、この交感神経が地上12階で動いているんです。 まさにハッスル! ものすごく動いてる。



高橋


それに、メリハリですよね。 私の専門外で申し訳ないんですけど、例えば、睡眠障害で、入院して治す時に、朝6時に起きて、ぱあーっと光を当てて、ご飯3回食べて、夜9時になったら寝るっていうのを強制的にやれば、2週間続ければ9割がた治るみたいなのは、理に適っていると思うんですよね。



森谷


そうです。 自分の時計、脳に体内時計の中心があるので、それだけをきちっとやってあげたら、食欲も睡眠もみんなうまくいくんですね。



荻野


話は尽きないようですが、時間が来ました。 中身の濃いスピーチと討論をありがとうございました。 きょうの話をご自身の頭の中で反復していただき、それぞれの生活の中に生かしていただければと思います。




≪続きはWEBフォーラムで…≫

 

 


 

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