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スピーチ1
「福島第一原発の汚染水拡散防止の提案 ―汚いものは元から断たなきゃダメ―」
東北大学流体科学研究所教授 圓山 重直 氏
きょうは、汚染水について話せということで、急遽、仙台からやってまいりました。 題目は、「拡散防止」。 汚染水のために地中にダムを作ろうと、永久凍土を作ろうと、あるいは、地下水を山側から汲み上げようと何をしようとしても、根本を直さないと抜本的な解決とはなりません。 例えば心筋梗塞で肩が痛いと言っている患者に湿布薬を貼って大丈夫といっているようなものです。 副題で、あまり品が良くないですが、「汚いものは元から断たなきゃダメ」と書いております。 つまり、汚染水がタンクから漏れる、汚染水が地下水の流入で増える。 この全てが、実は根本を治療しないで末端を一生懸命やっても解決しないというお話です。
これから「福島第一原発事故の概要」「事故分析と汚染水問題に対する提案」「汚染水拡散の現状と東京電力の対策」という順で、おさらいのような話をして、最後に根本的に汚染水を止めるためにどうするかということで、「汚染水の直接循環と地中石棺作戦」という、ちょっとマスコミ受けするタイトルで根本的に汚染水を止める方法について話をして締めくくろうと思っております。
まず事故の概要です。 福島第一原発の事故で重要なのは、津波が来る前に鉄塔が倒れて原発の外部電源が切れたということです。 福島原発は運転に必要な電気は東北電力からもらって、作った電力は全部東京に送っている。 ちなみに、事故概要で例示しているのは、(資料)JNES(原子力安全基盤機構)が作って、政府が2011年4月4日にIAEA(国際原子力機関)に出したレポートです。 これは、オープンになっていますので、英文ですが非常によくできているレポートで、未だに使わせてもらっております。
そして、津波がきました。 非常用電源が壊れたことばかり言われていますが、冷却用海水ポンプや、原子炉建屋地下の設備が電源だけでなく全部壊れたというのが重要だったと思います。 当時は、電気が回復したら非常用冷却機器が全部動くと東電の人は思っていたわけですが、電気が回復しても、全然元に戻らなかったし、冷却も始まらなかった。 もちろん停電がきっかけです。 その後、原子炉の中の水がなくなってジルカロイ反応と言って、燃料棒を覆っている金属が高温になりますと水蒸気と反応して酸素を奪います。 そして、余った水素が原子炉建屋に溜まって爆発したというわけです。 原子炉建屋と格納容器の間に、5㌢ぐらいの隙間が開いています。 ですから、格納容器下部に穴が開いて、(資料)水素が上に登って格納容器の上で爆発したというシナリオを私は考えていますが、他の人はそう考えていないようです。 穴があいているのは下のほうだと当初から予測していました。 今になって正しいとわかってきましたが、当時から事故分析をすると、そのことがよく分かリます。
私は、2013年4月に現場に行ってきました。 一番ひどいのは3号機でした。 事故当初はあまり壊れていないと言われていたのですが、一番ひどかった。 それで、完全防御でバスに乗り、3号機の前は放射線量が高いので、凸凹道にもかかわらず全力疾走で通りすぎました。 長くいると被曝するんですね。 今もそんなひどい状況です。 4号機のプールも見ましたが、意外とちゃんとしていました。
それで、今原発がどんな状態か、昨年刊行した「小説FUKUSIMA」で使った図ですが、(資料)原子炉1号機については、85%の燃料が下に落ちていると報道されていますけれども、多分、一部燃料は漏れていますが殆どが圧力容器の中に残っていると思います。 5年後ぐらいに蓋を開けた時に、圓山は大嘘をついたと言われるかもしれませんが。 格納容器で壊れているのは、左側のサプレッションチェンバーの繋ぎ目あたりだと思われます。 いろんな状況証拠、当時のデータ解析からそう考えられます。 穴は、もう1号機に関しては現在は指を丸めたくらいの大きさで、そこからちょろちょろ水が漏れているをと予想されます。 ちなみに、私の仮説では、1号機に設置されていた炉内の圧力を下げるIC(非常用復水器)は、かなり動いていたというものです。
続いて、3号機は、3月14日の11時に爆発しました。 3号機の原子炉圧力容器は下の方から壊れ、燃料がかなり漏れていると思います。 圧力容器破壊の勢いで、格納容器は1号機と同じようなところが壊れていると考えられます。 それで、水素爆発を起こした。 水素爆発自身は、放射能の汚染にはあまり関係ありませんでした。 その後ですね、3月22日から23日あたりの間に、3号機の炉心には水が入らなくて原子炉がまた破壊しました。 格納容器の上部だと考えられます。 本年の梅雨時に3号機から湯気が出ているというのは、降った雨の湯気ではなくて炉心から蒸気がでたと考えています。 京都と違って東北の梅雨は寒くて湿度が高いですから、出てくる水蒸気が湯気になって見えてきたと私は推定しています。
2号機は、最初サプレッションチェンバーが爆発したと言われていたのですが、やっぱり1号機、3号機と同じあたりが壊れたと推定しています。 (資料)2号機は、原子炉の中で唯一、安全弁を強制的に開けて炉心を減圧し注水に成功した原子炉だと思います。 私の小説にも書いてありますけど、バルブを開けた時に高温高圧になっていた水と水蒸気の圧力を下げたので突沸を起こして水位が急激に下がりました。 残念ながらお亡くなりになった吉田元所長が官邸に電話した時とこの現象が同じ時間でした。 あの時、水位がどんどん下がっていて、炉心がむき出しになっていることがわかりながら、消防車の燃料切れで注水ができませんでした。 この時に官邸に電話をかけて「首相、もうダメです。 ごめんなさい」といったのだと思います。 このごめんなさいというのは、「逃げますからごめんなさい」ではなくて、「私たちも死にますが、日本も助からない」という意味の「ごめんなさい」だったと思います。 吉田さんがどんな気持ちで電話をかけていたか、原子炉の熱流動解析をするとよくわかります。
その後、事故が一段落してから、原子炉に真水を注入しています。 塩水はよくないということで、近くのダムから水を引いてきて、一生懸命真水を入れだした。 すると今度はトレンチから水が溢れ出します。 覚えておられると思いますが、昭和天皇がお亡くなりになる直前、「きょうの血圧」とかの放送が毎日ありましたね。 これと同じように、「今日のトレンチの水位」というのを放送局がまじめにやっていました。 トレンチの水はいくら汲み出しても、地下水はタービン建屋から流れてくるので、水位が元にもどるのは当たり前です。
それから、原子炉を真水で満たす「水棺作業」というのを行いました。 これは、原発に穴があいていない時のやり方であって、しかも穴は格納容器の下部にあいているわけだから、いくら水入れたってジャジャ漏れになるわけですね。 多分、現場は気づいているのだけど、現場の人は東電の幹部に言えませんから、指示の通りにやったんですね。 この作業のために何億円を投入し、何人被曝させたかっというのを数えたら残念でなりません。
地下水の遮蔽ですが、資料の新聞報道にあるように地下水の遮蔽は、2011年の4月の22日の段階で、地下水を遮蔽すると東電は言っているんですね。 しかし、お金がかかりすぎるとか障害物などの理由でやらなかった。 それから、例えば「外付け冷却」というのも目指すといっていましたが、やってないですね。 結果的に、いろいろな方策をやろうとして、さまざまな問題が遮水をやらなかった。 そのうち、海にストロンチウムなどが漏れだしている。
先程も言いましたように、今の話を小説という形でまとめました。 (資料)登場する主要人物のほとんどは実在の人物です。 後で、テレビの公開もありましたが、私の小説とよくあっています。 なぜかというと、原発がどういうふうに壊れているかという熱流動解析を新聞報道と一緒に解析しています。 人間は組織にいるとどんなことを考えるか、誰も同じようなものですね。 小説では、読みやすいようにちょっとフィクションを加えています。
私は、4月24日の段階で、お手元の資料にあるレポートを出しています。 「土の中に水が漏れていて、透水層があるから止めなきゃダメだよ」って発表していました。 早い段階から格納容器に穴があいているっていっていたのですが、東電は、少なくとも、3月30日ごろまでは公式には「穴があいていない。 格納容器は無事だ」ということを言い通しています。 保安院の方が、「壊れているかもしれない」といった途端に左遷になっています。 東電は、5月ぐらいになってから、メルトダウンとか言い始めた。
4月24日の私のレポートに戻ります。 地下をまず止めないといけない。 また、除染しないで汚染水を冷却すればいいという提案をしています。 東電は、4月27日に、これをやりますってことを明らかにしました。 私のレポートは、東電の方にも送っているので読んでいると思います。 ちなみに、原発に穴があいているとレポートに載せると、数日して「5㌢ぐらいの穴があいている模様」と、東電が発表する。 そんな穴があいているわけではな、格納容器が割れているので、私はわかりやすく直径で表現したのですが、それをそっくりコピーしている。 小説もそうなのですけど、アイデアを真似されると、実によく分かりますね。 ああ、「パクっているなあ」と。 この件に関して、私はパクられてもいいのです。 ともかく原発が早期に収まれば良いと思っているので。
汚染水は、原子炉建屋の中に収めるようにしないといけない、とずっと申し上げています。 そのためには、コンクリートでも何でもいいから原子炉建屋の地下の遮水をしなければいけない。 これは、トンネル工事でも確立されている技術で、現場の土木技術者さんはみんな知っています。 その現場の意見が上に上がらないというのが、この事故の収束が遅いことの本質だと思われます。 事故当初は、崩壊熱の発熱量が高かったので、汚染水を環させながら、塩分は若干取りながら冷やさないとダメですよというのが私の提案で、最終的には、この原子炉の建屋の中に汚染水を完全に閉じ込めて、この中で水を循環させる。 タービン建屋に水を流さないというのが一番の基本で、非常にコンパクトに遮水できると2011年5月22日に提案しています。
現在は、事故当時に比べ、発熱量は20分の1以下に落ちています。 ほんとにちょっとしか熱を出していない。 もう冷やす必要はないのですね。 格納容器と内部の蒸気との熱交換で勝手に冷えます。 つまり、原子炉建屋の中で水を循環させるだけで、原子炉は冷えます。 図を見てください。 (資料)どうやるかと言いますと、1号機も2号機もここに穴をあけ、ポンプで水を汲み上げ、ジャブジャブ入れてぐるぐる循環させるだけでいい。 外気と熱交換して蒸気は冷えていく。 ただし、水を止めたらダメです。 原子炉が水を止めても溶けなくなるには、後、数年かかると予想されます。 今の状態では、水を回してやれば、原子炉は安全です。 これが私の提案でした。
今、原発の現状はどうでしょうか。 これは東電の報告書からですが、これもビックリです。 どんなところに原発が建っているかというと、図を見てください。 (資料)ここにいわゆる砂層があって阿武隈山系から水が地下で流れています。 昔は、ここに川があったのです。 だから伏流水みたいなものが流れているわけです。 原発というのは、「岩着」という方法で原子炉建屋を建てると聞いています。 つまり、全部土をさらい、粘土も全て取って岩をむき出しにして、その岩も表面のボロボロを取ってきれいにしてその上にコンクリートで積み上げていきます。 これが原発の建て方ですが、何と福島原発の原子炉は泥質層の上に建っている。 とてもおっかないです。 その下を地下水が流れています。
汚染水処理の現状はどうなっているかというと、タービン建屋から水をくみ出して、油などを取って、セシウムなどを吸着させます。 除染するわけですね。 その後、逆浸透膜で脱塩をします。 こうして非常にきれいな水にして一旦タンクに貯めて、それを一番汚い原子炉の中に戻している。 これを「循環冷却システム」というのですが、誰が考えても無駄なことをやっているのではないでしょうか。
事故前の福島原発はどうなっていたかというと、地下水位が高かったので、建屋に水がしみ込んで来るらしくて、周りに井戸を掘って水をくみ出していました。 地下水を局所的に下げて、原子炉を運用していたようです。 地下水位が高いことも、地下水が流れていることも当然わかっていて、こういうところに建てたわけですね。 現在は、地下水位を制御できず建屋の汚染水水位をかなり低くしているので、地下水が建屋に入ってきます。 ただし、原子炉建屋はかなり頑丈に作ってあるので、漏れはタービン建屋からが大部分だと考えています。 先日の報道でもタービン建屋の漏洩でした。
これもまた理解できないのですが、循環水の水質基準を塩分濃度で200ppm以下に下げています。 どれぐらい厳しい基準かというと、東京都の水道水の基準と同じか、むしろ厳しいぐらいです。 つまり、水道水と同じぐらいの塩分濃度にして脱塩しているのですね。 こんな水を炉心に注入していますから、放射能はありますが、原子炉建屋の水はとてもきれいです。 私は、とてもこれが不思議でしょうがなかった。 それで、いろいろ調べてみると、おもしろいことが分かりました。
現在、汚染水は総延長4kmの大循環しています。 それも、プラスチックパイプでつないだ4kmです。 これは、漏れて当たり前です。 さらに、地下水が入ってきますから、それを汲み出してタンクに貯めているわけですね。 なぜこの大循環をやめないのか、いろいろ聞いていたら、ある情報を教えてもらいました。 原子炉施設の保安規定があって、タンクが「錆ないために塩分を下げなさい」という基準を作ったのです。 これ自体は理解でできます。 しかし、脱塩をするために除染をしなくてはいけない。 逆浸透膜はプラスチックですから、放射線があると壊れるらしいのです。 ですから、除染をしてからでないと、逆浸透膜で脱塩できないわけです。 脱塩のために除染をして大循環でまたもとに戻すということをやっているのかなと、私は思っていますが、ほんとのことは分かりませんが。
この保安規定というのは、法律でも国の基準でもなくて、事業者が定める基準です。 自分で作った規則で自分の首を絞めているのですね。 東電の組織は大きいですから、保安規定を改定することは考えていないでしょうが、小循環も考えているようです。 2013年の6月27日の時点では、2013年中に大循環をやめることの検討を始め、2018年に原子炉建屋の中で回す小循環を構築します、と言っています。 それまで汚染水は増え続けることになります。
抜本的な汚染水解決方法として永久凍土を用いることが報道されています。 これは建築会社の提案で、原子炉建屋とタービン建屋を囲む地域を凍結させるという話です。 着工から概ね1年かかるということです。 こういうふうなことを1年間ゆっくりやるのもいいが、それはちょっと違うのではないでしょうか。
汚染水問題を解決するためには、「原子炉事故の先人に学べ」です。 チェルノブイリ原発事故、あれは悲惨な事故でした。 あの時、ロシア人は何をやったか思い出してみましょう。 軍隊とそれから死刑囚を動員します。 残念ながら、ほとんどの方が亡くなりました。 当時はソ連邦の頃だから隠し通していましたが、事故を収束させるために鉄やコンクリートなどいろんなものを直接炉心に投入しました。 これで、とりあえず放射能が止まった。 いわゆる石棺です。 今は、その石棺が経年変化したので、恒久的なものを作りましょうということで、シェルターを作って長い間放射能を閉じ込めるものを、多国籍の協力のもとで、時間をかけ、じっくりやっています。 ところが、日本がやっているのは逆です。 永久凍土、あれはシェルターです。 恒久的な汚染水防止策を何年もかけてやったら間に合わない。 ともかく、まず汚染水をスピーディーに止めて、ちょっとずつぐらいは漏れてもいいので、後から恒久的なことをやればいい。
では、どうするかというと、要するに、土木の普通の技術を使えばいいわけです。 土木屋さんは、破水帯とかとんでもないところでトンネルを作ったりしています。 この技術を使えばいいのです。 最近、タービン建屋から音を建てて地下水が漏れているという報道もありましたが、私が最初から指摘している元凶のタービン建屋と隣接する原子炉建屋の周囲をボーリングして、土木屋さんが普通に使っているコンクリートミルク、水ガラス、速乾性のコンクリートを二重、三重に大量に入れ、いわば安全な「地中石棺」処理をし、それで水を止めてしまう。 最終的には原子炉建屋だけしっかり遮水します。 そして、これと並行して先ほどいった原子炉建屋内で汚染水を除染せずに循環冷却する「小循環」を早急に行うのです。 (資料26ページの)図に示しておりますが、これが私の提案です。 こうして元凶のタービン建屋と原子炉建屋間の水路遮断が完成すれば、もうタービン建屋の汚染水はただの「汚染滞留水」となり、慌てることなくこれまでにある除染・脱塩施設で処理すればいいのです。 こういうふうにやって汚染水そのものの量が出なくなれば、時間をかけて恒久的な遮蔽施設や汚染処理に取り組めばいいのです。 トリチウムの除去は現状難しいですが、ストロンチウムとかセシウムはきれいにして、タンクに貯めておけます。 今のタンクがボロボロになったら、恒久的なタンクに入れておくというのも一つの方策でしょう。 とにかく、今のような、汚染水がどんどん増えているような状況をまず何とかしないことには、汚染水拡散防止を実現することできません。
ところで、これは、津波の1年前、東松島というところで、私たちの研究室恒例の「夏期合宿」をやった時の写真です。 (資料)景色も素晴らしくおいしいウニとかもとれ、とっても良いところでしたが、地震と津波で悲惨な状態になりました。 これを元のように復興していくことは大事ですし、福島原発も一刻も早く収束させて、そして、元気な日本を再生させていけたらと思います。
スピーチ2 「隠せば益々立場が悪くなる」
京都大学大学院総合生存学館准教授 山敷 庸亮 氏
きょうの私の話なんですが、多分、あいつ(自分)はいったい何をやっているやつなんだろうという疑問があるんだろうと思いますので、一応論文をコピーしてまいりました。 「日本海洋政策学会誌」に掲載されました「東京電力福島第一原子力発電所事故由来の核分裂生成物質の海洋環境影響に対する我が国の法的立場」です。 一番言いたい主張をしております。 この論文は、2012年12月に受理・発行された論文ですが、(本音で言わせていただきますと)汚染水の漏洩を予知して書いたものです。 これを書いている時には、絶対に海に漏れていて、問題になるというのはわかっていたのです。 証拠はなかったが、ちょうどその前に、NHKスペシャルの番組に関する海洋調査をやっていて、状況証拠として漏れていなければおかしいというのがいっぱいあったわけで、いつ明らかになるかという話だったのです。 ただ、この論文は、全然注目されていないんですね。 それで、政治家の方に送ったりしてまして、こないだも、ある与党幹事のところに、直接議員会館までこの論文を持参してお話をさせていただいたのですが、どこまで内容が今の政権に伝わったかというとわかりません。 私が言いたいのは、「隠せば益々立場が悪くなる」ということなんですね。 最後に言おうと思っていたんですが、要点としてまず言っておきます。 日本政府、あるいは東電はとにかく隠したがるんですね。 「何にもない」「大したことない」と。 そして、ちょっとでも出たら、今度は「大丈夫」という。 しかし、大丈夫かそうではないかは、本来は、汚染している人が言っちゃあダメなんですね。 汚染を評価する人がいう話なんです。 しかも、実は、意識が国内問題に終始している。 国内も大変なんですけど、海外の人がどう日本を見るか、これのほうが大切です。
それで、最初に、圓山先生も触れられた(福島第一原発の立地に関する)川の話をちょっと言います。 川の話は、私も前から聞いていたのですが、日経新聞の朝刊に載ったのが9月7日ですね。 これあまり注目されていないんですけど、米軍が撮影した写真に川の三角州が写っているというんです。 私もそれでちょっと調べてみました。 汚染水の原因は、これも圓山先生が詳しく説明されました通りで、要は、循環冷却が不可能になって、今は、循環ではなく開放系になっているから、核燃料に直接触れている水が漏れている。 最近、それは、気象庁気象研究所の青山道夫研究官が1日あたり600億ベクレルだということをIAEAで発表しました。 やっぱり、元々、河川のところに原子力発電所を作っている。 これでは、海に流れる地下水が大変だというわけで、このふたつが汚染水が海に流れる原因です。 基本的なことですが、原子炉というのは、事故を起こさなければ汚染水が大量に漏れるということはない。 重水炉では、トリチウムが漏れることはありますけど、通常は、非常に小さいレベルですね。 要するに、1次冷却系、2次冷却系が完全に分かれていて、しかも、1次冷却も配管と核燃料を覆うジルコニウム皮膜があるので、直接冷却水が核燃料に触れることは絶対ないとされていた。 漏れても最小。 ところが今回はそうではなくて、直接核燃料に冷却水をかけて、その汚染水が外に漏れていると、ま、そういうことだと思うんです。
(福島第一原発の立地場所にあったという)河口の写真を、探してみました。 米軍が、1947年4月13日に撮影したものです。 川(河口)は、多分これと思いますが、こっちに行っているのとこっちに行っているのとあって、今は、ここに福島原発が建っている。 川がズボッと流れている感じでもないですが、いずれにせよ、伏流水が、ここ(福島第一原発の敷地下)にはたくさん流れていることは、ほぼ間違いないだろうと思います。
次は、汚染水をどこまで放流して安全か危険かという話なんですが、これは非常に難しいですね。 ただ、論点として、ふたつだけ提案します。 規制委委員長は、「海は広い。 薄まる」という主張をされます。 それは、実際そうなんです。 間違っていません。 海に流せば、少々のもの、テラとかペタベクレルオーダーのものを流してもですね、それが、ある程度広い範囲、例えば、仙台湾とかに拡散すれば、局所的に混じらないところだけ高いのですが、1ベクレル/リットル以下には絶対なります。 こうなれば、基準値以下じゃないかという話になります。 もちろん、海の元々のバックグラウンド濃度(約0.0017Bq/L)に比べれば随分高いのですが、水だけとれば必ずそうなるので、汚染水を流す方からは、海の体積、水の体積で割れば「全然水を飲んでも問題ない」となるんです。 絶対そういう話になります。
しかし、ではなぜ、そうではなく危険だ、といえるのか、なぜそれではダメなのかというと、こういうことです。 もし、汚染水が拡散し、海洋と完全混合して希釈すれば、平均濃度は大変低くなるはずです。 だけど、実際は局所的に濃縮するんです。 拡散したものが、生体に移行するわけですね。 例えばカリウムと同じような挙動によって、水中で泳いでいるプランクトンや、魚などに濃縮するわけです。 これが怖いんです。 だから、実際に、これぐらい汚染水を出して、その汚染水がこれぐらいに薄まるから、その水が大丈夫だといっても、それでは何の安全性も保証出来ないのです。 なぜかというと、その中の生態系にどれぐらい濃縮するかということに関しては、何もわからないからです。
それでは、濃縮した魚がですね、じゃあ、どれぐらいで一般的に濃縮されるといわれるのかというと、一応、濃縮係数というのがあって、これは100と定められています。 これは、水産庁が、もともと50だったのを100にしたというお話を聞きました。 そうするとですね、例えば、10000ベクレル/キログラムという魚は、実際、20キロ圏内の湾域で捕獲されているんですが(2012年8月に太田川の河口域で25,800Bq/Kg-wetのアイナメが捕獲された)、その魚が<捕獲>されるためには、理論上100ベクレル/リットルの水が絶対必要なんですね。 でも、そういう水はもう(福島第一原発前の港湾以外には)存在しないんです。 机の上で考えるとありえない。 それで、そんな魚がいるはずはないということになる。 では、いるはずがないのに、なぜいるのか。 (先ほどの高濃度アイナメに関しては事故後高濃度汚染水に暴露され、その後低下しているという見解が発表されており、これは説得力があると考える。 しかしながら同時に、事前にこのような高濃度アイナメ捕獲の可能性は予知できなかった事実もあり)根本的な濃縮メカニズムが十分にわかっていない、ということを忘れてはならないと思います。 例えば水俣病がそうだったんですが、水中の水銀を測っても出てこない。 結局、水銀は底泥に蓄積されていて、それが生態系で濃縮され人間に蓄積した。 「海は広い。 薄まる」という考え方は、このプロセスを完全に無視していると考えるべきです。
このデータは、2012年の1月15日のNHKスペシャル番組用に、日本海洋学会の川村宏、石丸隆両教授らが測った福島第一原発の周りの海の底泥の濃度です。 最高で4,520ベクレル/キログラムです。 この値は、陸域では10万ベクレル/キログラムの土壌など点在しているので、(この4,520ベクレル/キログラムというのは) 全然大した値ではないんです。 が、大きな違いがあって、底泥というのは3次元的に分布していて、かつ、それは、そのまま水圏生体系に取り込まれるという危険性がある。 当然、陸域の10万ベクレルの方が危ないんですけれども、海の4500というのは非常に高いです。 実は、私も、この時に、東京湾の汚染のシミュレーションをやったんです。 これちょっと、物議を醸したんですが、スケールは載していませんが、赤いのが300ベクレル/キログラムです。 この汚染が、私の「予言」では来年の3月で最高となっているんですが、今、現場に行って、泥を測って必至で検証をしているところです。
これは、9月6、7日に、あるテレビ局が福島原発沖に行くというので、一緒に行っていろいろ調査した時の写真です。 結果とかは放送(10月2日)前でいえませんが、どんな調査だったかお見せしたいと思います。 まず、原発から1キロほど離れた海上なんですが、これ、堀場製作所の放射線モニターの「ラディ」ですけど、測ってびっくりしました。 0.041と、これ京都の値ぐらいで仙台より低い。 海が、(放射線を)遮蔽するんですね。 ただし、(福島第一原発からの)風が吹いてくると上昇するようなんですが、幸い風も吹かず、重装備を解いて調査しました。 監視船がいて、これより中には入れないんですが、テレビ局が交渉したんでしょう、素通りして、これは4号機沖です。 われわれが担当したのは、超音波ドップラー流速計を使った流速の把握で、フラックス(輸送量)出そうと考えました。 テレビ局の方は、汚染水の中に潜って撮影までしました。 原発まで、これぐらいの距離で、しかも線量計は低いので、本当に汚染しているかどうか、底泥とれば別でしょうが、水なんかはわからないんですね。 もっとも、トリチウムは線量計に反応しないということなので怖かったですが、調査を続けました。 それで、これで何がわかったかということですが、福島原発に沿って並行して、流速を測ったんです。 特に、通常、シミュレーションすると(このあたりの海流は)南向きなんですが、予想に反して、表層は北向きの流れがあり驚きました。 下の方には南方流。 これちょうど阿武隈と逆なんですけど、大体、この辺ですね、表層と深層で水の流れが逆であるということが、実際のデータとして採れました。
われわれ、阿武隈の調査っていうのをやっていまして、京大防災研の論文を資料としてつけています。 その内容なんですが、要は、阿武隈川から出ている汚染水ではなくて、これ、セシウムが、粒子体といって粘土質に吸着された状態で川に流れます。 それが、台風の時期とかにたくさんの量、1日あたり2兆ベクレルという量が流れる。 このことは、2012年の5月に言いはじめたんですけど、学会でこれを発表しようとすると、待ったがかかり、報道も何社もきたんですけど、やむなく「このデータには守秘義務がありまして」などと断っていたんです。 それで、1年経ってやっと出せるようになったわけです。 ところが、今は、本体の汚染水がわーっと騒がれて、なかなか川には注目が集まらなくなってしまいましたが…。 実は、この論文は重要な指摘をしています。 川から出ている放射性物質の量とですね、今まで汚染水で推定されている量があんまりオーダーとして。 このことも、後で言いたいと思います(本内容については後にネーチャー出版のScientific Reports誌に発表され、「注目の論文」となった。 「福島第一原子力発電所の影響を受けた最大河川流域から海洋への粒子態放射性セシウムの初期フラックス」)
河口部においてRINKOというCTD計を用いて鉛直方向に塩分濃度と濁度を測定し、川からの淡水と懸濁物質が河口域でどのような挙動をしているか調べたところ、淡水のピークは表面付近に出来るのですが、それとは別に濁度のピークが中央より下で観測されました。 このことから、懸濁物質に付着した河川からのセシウムが、表面を拡散する淡水とは別の挙動となり、河口部に広く堆積している可能性が示唆されました。 ところが、実際に底泥中の放射性セシウム濃度を測定すると河口部だけではなく、もう少し離れたところに(沖から2−3キロ)濃度の最大値が観測された。 すなわち、汚染底泥は随分遠くに運ばれた。 沿岸部の流速分布も超音波ドップラー流速計(ADCP)を用いて調べましたが、川から西向きの流速もあるが、底の方は東向きになっている、ということもわかり、ここら辺は、南北方向で行くと、南向きの流れがあって、下は西向きになっていると、ちょうど逆になっているということもわかりました。 それで、これが重要なんですけど、阿武隈川の河口が一番(汚染数値は)高いんですが、河口よりちょっと遠いところも高い。 これ、先頃発表された東大の調査でもそういうことを言っていて、「汚染がどこまで広がるか」というのはまだわからないということなんですね。
では、放射性物質が海流に乗ってどこまで広がるのかという話ですが、ここで海洋研究開発機構(宮澤氏、Varlamov氏ら)との共同で行ったシミュレーションを御見せします。 これは阿武隈川の流量の最高時のデータを実験シミュレーターに入れたものですが、この青いのは、放射性物質というわけではなく川の淡水なんです。 これが、仙台湾全体に広がって茨城、千葉の銚子に至り、ここからまた、ずいぶん沖まで広がるんですね。 こういうシミュレーションを何ケースかやってみると、河川水は、イメージとしては川の周辺だけですけど、実際はかなり広がるんですね。 それで、今の状況で言うと、いずれアメリカに放射性物質は到着する。 これは間違いないですが、問題は、どういう濃度で到着するかです。 ただ、(河川由来の放射性物質だけに関して言うと、それが原因での海洋汚染については)濃度自体は大した濃度には絶対なりません。 なったら大変です。 もし、アメリカで例えば、海に入れないという濃度になったら、地球の海洋全域がだめになるということで、どうしようもないことで、こんなことはありえないし、あっては絶対いけない。 ただ、ちょっとは漏れているわけですね。 これなんか、川から漏れている。 これが観測してわかるぐらいにはなるということです。
次は、どれだけの放射能が福島第一原発にあるかという話です。 ここにある使用済み核燃料は、2011年現在で、1920トン。 別情報で1665トンでした。 みなさまにお配りしているこのインベントリは、実は、日本の原子炉全部の型式、何年運転しているかの年数、2011年における使用済み核燃料も全部書いてあります。 これは国の正確な情報です。 それで、私はこれを元に、正確には難しいんですが、何年間経った燃料がどれぐらいあるかも勘案して放射能の残存放射量を試算しますと、大体、150エクサベクレル、15万ペタベクレルある。 ただし、実際にStohlら(Stohl et al. 2012)かが試算しているんですね。 そのインベントリを見ると、もう少し多いのか少ないのか、何ベクレルあるかが結構重要なんですが、実は、原子炉というのは、核分裂を終えた瞬間が放射性物質の量が一番多い。 桁違いに多いが、ほとんどが短寿命核種なんです。 例えば放射性希ガスのキセノン133とか、そういうのがたくさんあるので、放射能の総量でいくと、キセノンが最初、千倍ぐらいあって、しかし、半減期が5日ぐらいですので、すぐ消えるわけです。 それがおさまって後は、ゆっくりセシウムとかの減衰になって、最後に残るのがプルトニウムなどの長寿命核種、10万年ぐらい残る。 だから、何ベクレルあるから危険というそういう話ではないのですが、全くわからないといけないので試算をしたわけです。
それで、お配りした福島原発やチェルノブイリの事故、広島の原爆、大気圏核実験など世界の放射性誤出、放出事故などを比べた表を見てください。 これ、きょう一番お伝えしたい話です。 要するに福島原発の事故は大きいのか小さいのかという話です。 チェルノブイリの推計は、これ、IAEAのが一番公式な値なんですが、それによると総量は13650ペタベクレル。 この内の半分、6,500ペタベクレルが希ガスです。 後、ヨウ素、セシウムとかそんなのが出て、結構たくさん出たのがテルル(1,150ペタベクレル)です。 それで、全体をヨウ素換算(放射性物質をヨウ素131の量へ換算)すると6,420ペタベクレルになります。 一方、福島第一原発事故はですね、保安院の公称値の合計は11,340ペタベクレルで、総量でいうとチェルノブイリとそう変わらない。 ちょっと小さいぐらいですね。 別の予想、Stohl et al.2012の予想では15,600ペタベクレルになって、総ベクレル数ではチェルノブイリを抜くんですね。 まあ、これちょっと知っておいて頂きたいですが、ところが、ヨウ素換算すると、希ガスがヨウソ換算係数ゼロなので、福島第一原発事故は途端に、843ペタベクレルになってしまう。 これは、これまで言われていた770,000テラベクレルというのは、770ペタベクレルなので、近い数字になるんですね。 要するに、ヨウ素換算すると、福島はチェルノブイリの7分の1とか8分の1になります。 これで、福島は小さいと言われるんです。 確かに正しいです。 実際に、半減期の5日ぐらいの希ガスはもうありませんから、確かに正しい。 ただ、かと言って、福島がほんとうに小さかったかというと、そんなことはなくて、放射性希ガスの量で言うと世界一です、ダントツに。 それぐらい出ている事故だったんです。 それと、もう一つ言いたいのは、そこに載っている大気圏核実験です。 これ、総量こそ出ていませんが、希ガスが何と2,100,000ペタベクレル出ているんです。 今大きいといった福島は、11,000とか15,000ペタベクレルです。 大気圏核実験は、そんなものとは桁違いなことをやっています。 例えば、セシウム137は、福島では15ペタベクレル、多い見積もりでも18〜30ペタベクレル。 チェルノブイリでは85ペタベクレルと、これも大きいんですが、大気圏の核実験では1,500ペタベクレルも環境中に放出された。 こういう桁の違いがある。 まあ、冷戦時代は(放射性物質を大気中に)撒きたい放題だったんですね。 核実験の恐ろしさも知っておかないといけないと思います。
さて、それで、どこまで放流して安全かという話に戻ります。 今の話は、福島って大したことがないという話になるかもしれませんが、先ほどからもいっているように、決して油断していいとはいえません。
海水の汚染濃度は実際に高い。 先ほど話しました10,000ベクレル/キログラムの魚が実際いるんですが、なぜそれがいるか。 仮説が二つあります。 一つは、100ベクレル/リットルの海域がほんとうにあるということ。 福島原発から漏れていて、その周辺が高くなっているという仮説。 もう一つは、濃縮メカニズムが全く間違っているという話。 もっともっと、濃縮率が高いという仮設。 この二つの可能性があるんですが、この分野に関してはまだほとんど研究されていないと考えます。 もちろん、当然たくさんの人がやっていますけど、成果が出ていないんです。 これがわかるのは5、10年先なので、その前に何とかしないと後になったらどうしようもないという話です。
これ、危ない危ないという話なんですけど、もう一つ、国際法上の問題がある。 われわれが一番怖いのは、日本がこれだけの放射能汚染を出して、賠償させられるんじゃないかということ。 これこそが、私が論文に書いた一番の懸念なんです。 それで、国際法上の問題として、東北大学の西本健太郎准教授の説によると、基本的には、海岸の施設であり海上に設置された施設(プラットホーム)から出しているわけでなく、故意でもなく、周辺国に通達していれば問題ない(ロンドン条約違反ではない)と。 ところが、ロンドン条約違反ではないから非がないということにはならないんですね。 完全な黒でもなく白でもないグレーな状態が続くというんですね。 あとですね、事故直後に汚染水を放出したことは、第8条の「緊急の場合」というのが当てはまるということになるとしても、しかし、懸念は、回遊魚(マグロ)が汚染されること、韓国がいっているように、「魚が売れなくなる」などの被害を訴える国がたくさん出てきたらどうするか。 これは想像できないですね。 それと、通報義務で、汚染水を流す前に通報をやっていない。 さらに、国連海洋法条約194条2項の「いずれの国も、自国の管轄又は管理の下における活動が他の国及びその環境に対し汚染による損害を生じさせないように行われること」―これが実は、今、汚染水を出す時に考えなければいけない。 何回もいいましたように、(水中)濃度だけで計算すると、韓国とかアメリカ(の海水)に被害が出ることはありえません。 だからといって、中に住んでいる魚が大丈夫かというと別問題なんです。 この解釈・予測が、まだ実ははっきりしていないのが現状なのです。
そして懸念の一つは、たとえ国際法違反でなくても、例えばある国が独自に二国間賠償、あるいは国内法違反として提訴することは可能なんです。 これが実際に行なわれた例がある。 メキシコ湾で起きた「ディープウオーター・ホライズン」の重油流出事故です。 米国の国内法「油濁法」を元に賠償が行われた。 当然日本の企業も賠償請求の対象になりました。 これは国際法に基づく条約違反でやったわけでなく国内法でやった。 福島も、この懸念があるわけです。 ただ、現時点では、致命的な海水中の放射性物質の濃度や外国における高濃度の放射性物質を含む魚類の獲得などは確認されていないんです。 そして、これが大事なんですけど、さっき言った大気圏核実験から考えれば、福島は全く小さいですね。 後、原子力潜水艦事故もいっぱい起こっている。 実際はね。 ですから、日本政府は、今まで、とにかく汚染を小さく見せようとするんですが、これは間違いです。 正直に言えば、まだ、こうした比較から、(過去の大気圏核実験などと比較すると)小さいと言えるんです。 で、大切なことは、これ以上の汚染水防止の根本的対策を講じるとともに、世界各国からの批判や賠償責任にさらされる前に、一刻も早く世界各国に呼びかけ、放射性物質の海洋放出に関する基準や取り組みをわが国主導で行う必要がある。 例えば、問題はこれなんです。 国連海洋条約の194条の2ですが、「(汚染が)自国が主権的権利を行使する区域を越えてた拡大しない」というのが大事なんですね。 汚染水が他国に行っちゃうのはまずい。 行ってもですね、そして、それは他のと比べてまだ低いと言える時に、やっぱり、わが国がリーダーシップを取って言っておかないといけないということです。
それで、汚染水に関して、安倍首相は「漏れていない」といいました。 でも、実際に漏れている。 その数値は、これなんです。 東京海洋大学の神田穣太教授が予測したんですが、17テラベクレルで、これNHKで流れました。 この報道がきっかけで汚染水問題が本格的になった。 今回、レベル3のアクシデントになったのは、24テラベクレル、評価するとこれ数千テラベクレルに行くという話もあります。 青山研究官は1日600億ベクレル。 これ大変な量ですが、2年半続いても55テラベクレル。 それに比べて初期に海洋に流出した量は、低めの見積もりでも3,500テラベクレル(3・5ペタベクレル)。 あるいは、Stholによると27,000テラベクレルで、これに比べたら小さいです。 さらに英国のセラフィールドは、41年間で41,000テラベクレルとまだまだ小さいが、でも安心はできないです。
本当に怖いのは、これ。 タンクに溜まっている汚染水です。 その量は、4号機地下に140テラベクレル溜まっていると言われている。 タンクの総量では、最近、20,000テラベクレルだと東京新聞が書きましたが、私も正確にわかりません。 ただ、多分、数十、数百ペタベクレル、すなわち数万、数十万テラベクレルオーダーの汚染水が絶対溜まっていて、しかも増えている。 これが、漏れたらとんでもないことになります。 これを何とかしないと大変。 やっぱり、浄化するとか何とか対応しないといけないということです。
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